花粉症なら小青竜湯!・・・・がなぜ効かないか?
肺は「水の上源」。飲み込んだ水は肺にまで運ばれ肺から体中に噴霧され皮膚から内臓までを潤します。ちょうど加湿器のようですね。
ところが加湿器(肺)が冷えてしまい動かなくなると水は噴霧されることなく肺に溜まってしまいます。溜まった水のことを「飲」と 言います。この状態で体が花粉、ハウスダスト、ダニ、太陽光線に刺激されると「飲」は水様性の鼻水となり鼻から爆発するのです。
小青竜湯は肺を温め、加湿器を再び稼働させ、肺に余計な水が溜まらないようにして鼻水を止めてくれます。 毎年花粉症に悩まされる人は、加湿器の調子が毎年おかしくなる人とも言えますね。身体の中の水の流れを調節する臓器は肺、脾、腎です。この3つの臓器の調子がおかしければ
肺には飲が溜まりやすくなるのですね。
ですから花粉症の人は「脾肺腎に虚損がある」と 言えます。
小青竜湯で一時的に治しても根本が治らなければまた花粉症になります。キッチンの流しが詰まってパイプスルーを使っても結局はパイプを修理しなければならなくなるのと似ています。
花粉症の漢方は「脾肺腎の虚損」を改善しながら治していくのが新しい治療法です。
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花粉症は花粉により鼻の粘膜でアレルギー反応がでてしまうわけですが、中医学には「六邪」という自然界の気候の変化(風・寒・暑・湿・燥・熱)が人体に感受して疾病を起こすという考えがあります。
温度の変化、ウイルス、花粉・・・こうした外界からの病因素は目には見えませんから古代の中国人はそれを「六邪」として捉えていたのですね。
外が寒くても体が丈夫ならビクともしません。ところが疲れていたり体が弱っているとてきめんに悪寒がして風邪をひきます。虚しているところ邪自ずと聚まる、訳ですね。
花粉症にしたラットの鼻粘膜を見るとメチャクチャに崩れています。これでは外界から侵入してくる異物が最初に通過してしまいます。「営衛不固」、身体の防衛力が強固でない状態です。
花粉症の養生として疲れない、睡眠を充分に、というのは、身体の防衛力を強くするのが目的なんですね。
花粉症の漢方薬を決めるときは、鼻水の状態が参考になりますが、これは六邪のうちのどれが発病の原因かを知ることでわかります。
寒邪の分泌物は水様性なのが特徴ですから、水のようなサラサラした鼻汁になります。(小青竜湯)
熱邪は、粘りのある黄色い鼻汁になります。(銀翹散)
湿邪は、少し粘りのある透明な鼻汁。雨の日は花粉が飛ばないので楽なはずですが湿邪の場合には逆に重くなります。これも湿の特徴です。(蘇子降気湯)
以上に、防衛力を上げる目的でオウギの入っている玉屏風散を+します。オウギには「益気固表」の働きがありますからね。
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耳鼻科の薬にしても市販の薬にしても基本的に抗ヒスタミン剤が主流ですが 副作用としての眠気には参ります。強い抗ヒスタミン剤は却って鼻がつまって しまったり唾液も止めてしまうため口の渇きもでてしまい不快な症状にも悩まされます。
では副作用がないからと小青竜湯などの漢方薬を考えますが鼻水をとめる作用は現代薬には及びません。
くしゃみ、鼻水、痒みなどのアレルギー反応は身体の中に花粉が入ったときに起こります。 ですから「鼻水を止める」から「花粉が身体に入らないようにする」という発想を中国医学流に考えてはいかがでしょう。
身体を防衛している「気」の中に「衛気」という身体の外側を流れ外からの異物 (温度差、 ウィルス、花粉・・・)が中に入らないように守る気があります。
この「衛気」を強化することで花粉が鼻粘膜に入らずアレルギー反応が起こらなくしては どうでしょうか。 したの写真は花粉症ラットに衛気を強くする「玉屏風散(ギョクベイフウサン)」を投与したときの鼻粘膜の状態です。
左から正常なラットの鼻粘膜、鼻炎を起こした鼻粘膜、衛益顆粒投与後の鼻粘膜。
投与後の写真では壊れていた鼻粘膜がキレイに正常な状態に戻っていますね。
「玉屏風散(ギョクベイフウサン)」は花粉が身体に入らない予防の効果の他に鼻水が出ていても それを止める治療の効果もあることがわかりました。
2月になり鼻がムズムズしてきました。そろそろ「玉屏風散(ギョクベイフウサン)」 で予防をしておくといいですね。「玉屏風散(ギョクベイフウサン)」は「衛益顆粒」という名前で市販されています。
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