セックスレス
日本では夫婦の3分の1以上が、性交渉を持たない「セックスレス」の状態となっていることが明らかになった。その多くは、疲れ過ぎや面倒くさいことが理由という。社団法人日本家族計画協会の北村邦夫氏が12日に明らかにした。
それによると、性交渉を少なくとも1カ月持っていないという夫婦の割合は、今年の調査では約37%。この数字は2004年には32%だった。 同氏がロイターの電話取材で語ったところでは、男性の4分の1が仕事での疲れ過ぎを理由に挙げている一方、女性の19%はセックスを面倒だとしている。調査は49歳までの結婚している男性647人・女性821人を対象に実施。北村氏は、ワークライフバランスの問題だと指摘しており、個人的にすべて解決できることではないため、
会社経営者がなんらかの対策を打つ必要があるとの考えを示した。今回の調査結果は、来年に厚生労働省へ報告される予定になっている。
[東京 12日 ロイター]
過酷な生活のために生きていくために必要な「気・血・津液」がどんどん消耗してしまい、腎に蓄えられている生命力「精」が気や血に転化されてしまっているのですね。今の日本の経済と同じかな? 「気・血・津液」は普通預金、「腎精」は「定期預金」。徹夜や残業で生きていくだけで精いっぱい、定期崩して生きていく状態では、生殖能力の原動力である「精」が不足し、セックスレスになってしまうのですね。
(2008/11/12まつえ)
腎精と「くるみ」
−欧米では結婚式に子孫繁栄を祝いクルミを撒きます−
人間の生命活動の源である「精」は腎に貯えられていると中医学では考えられています。 精は性ホルモン的な働きもし、腎精が不足すると精力にも衰えが出てきます。
中国歴代皇帝のなかで一番長命だった乾隆帝(1711―1799、89歳!)が飲んでいた宮廷専用処方の中には「くるみ」がはいっています。「くるみ」は「胡桃(コトウ)」という名前で 漢方薬として使われていますが、形が睾丸に似ていますね。中医学では腎精を増やす働きがあるとされています。また大脳にも似ています。実際、クルミにはトリプトファンが多く含まれていて、これはセロトニンやメラトニンなど脳内での神経伝達物質の合成には欠かせない必須アミノ酸です。またリノール酸が豊富なので高脂血症の予防にも有効ですね。
乾隆帝が「四庫全書」(5十数万巻)の編纂事業を完成させられたのは、精力の他にくるみが 知力にも効果があったせいなのかもしれません。毎日クルミを食べるのは中年男性にとってはよいことだと思います。
日本では「清宮寿桃丸(ジングウジュトウガン)」という医薬品に「胡桃」が処方されていますが、これは乾隆帝が服用していた「蟠桃丸(バントウガン)」を元に作られたものです。
(2008/03/01まつえ)
夏バテ
連日35度近くまで気温が上がっています。 何人もの方がこの暑さでお亡くなりになっています。外で汗をかくのは健康的という考えは改めなければいけません。僕も小学校2件、中学校1件、プール水検査で出かけました。炎天下、子供達が気持よさそうにプールで泳いでいるのを尻目にの残留塩素の検査など屋外での仕事は15分程度ですがその間汗が皮膚から噴き出してきました。 帰りも汗は止まらず。薬局(当時)に戻ったときにはものすごい脱力感、咽喉の渇きに襲われました。 吹き出ていたのは汗だけではなく「気」も一緒に出ていってしまうのです。だから水分不足、エネルギー不足になり、咽喉が渇くだけではなく脱力感もでてきてしまうのです。
韓国では夏にオミ茶という「五味子(ゴミシ)」のお茶を飲みますが、これは肌を引き締め、汗が漏れ出るのを防ぎ、気の流出を防ぐ働きがあります。 中国では、人参(エネルギーの補給)、麦門冬(体液の補給)そして五味子の処方さた「生脈飲」という漢方ドリンク剤を使い、夏の疲れを呼ぼうします。
日本でもエキス顆粒で「麦味参顆粒」という名前で売られています。夏バテにお試しください。
(2007/08/24まつえ)
隠れ脳梗塞
MRIで診断すると40代は3人に1人、50代は2人に1人、60代は8割以上の人が隠れ脳梗塞だそうです。 隠れ脳梗塞は特に自覚症状がないこと。あっても短時間で回復してしまい見過ごされてしまうことです。 数ミリ程度の小さい梗塞でも数年後には約3割の人が脳梗塞の発作を起こすというデータがあります。
めまい、片方の目が突然見えなくなる、ろれつがまわらない、一過性の物忘れ、 物がうまく飲み込めないなどの症状がでたらすぐ検査されたほうがいいでしょう。
特に暑い夏は血液の水分が汗により消耗されてしまい、血液の粘度があがり血管内で詰まりやすくなります。 徹夜明けでそのまま炎天下のゴルフ場で倒れたというケースは大変多いです。
水分の補給は大切ですが、中医学的に考えると、水分の他にエネルギーの消費も増えます (身体の中で体液を汗に変化させるため)。
水分+エネルギーの補給には【生脈散】という漢方薬がお勧めです。
(2007/06/06まつえ)
春風とイライラ
徹夜明けでなんだかイライラした経験はありませんか? 些細なことでも気になり普段とは違った態度を他人にとってしまう ことはありませんか?
漢方(中医学)では血液は肝臓に貯えられると考えています。貧血気味の人に 鳥のレバーを食べるのは肝臓にはたくさん血液があるからなのですね。 昼間は身体中をめぐり活動のために使われていきますが、夜になり人間の身体も休みになると 肝臓に戻ってくるのです。
ところが夜遅くまで起きていると血液は肝臓に戻る事ができず活動の為 消費されていき「血液不足」の状態になります。
寝不足のとき瞼がピクピク痙攣するのは「血液不足」のため筋肉に栄養が いかないために起こるのです。
肝臓にはまた「気持ち」をコントロールする働きもあるのですが、血液不足の 肝臓はうまくコントロールができなくなりイライラした気持ちがでてきやすく なります。
女性の生理前のイライラも子宮に血液が集まってしまい肝臓の血液が不足した ために起こるのです。
春は暖かくなり爽やかな風も吹き気持ちも明るくなる季節なのですが、冬の間 に睡眠不足で肝に血液が十分ない人はイライラがつのりやすくなります。受験のために冬の間寝る間も惜しんで勉強した人が春になり気分が滅入ったり
イライラする「五月病」や春先に凶悪な事件がおこるのもそのせいですね。
(2007/05/02まつえ)
肩こり
肩こりを訴える人は少なくありません。たかが肩こりと思われるかもしれませんが これは生活全般からくる注意信号で、肩こりが出始めたら一度今の生活パターンを
見直してみるといいと思います。ストレスにさらされ、仕事に追いまくられ、余裕のない 生活になっていないでしょうか? 街に肩こりのための手軽なマッサージサロンの看板を見ることが多くなりました。それだけ生活パターンに問題を抱えている人が多くなってきたのでしょう。
中国の病院で中国人の患者さんから「肩こり」を訴えられることはありませんでした。鍼灸科に私が肩こりで受診すると中医師はカゼでもないのにと首をかしげるほどでした。
この話を中国人の友人に話したら、中国人も日本にいるときは肩がコルとおしえてくれました。そうしてみると日本の生活環境自体に問題があるのかもしれませんね。
マッサージをすると楽になるように、肩の血流がよくなればコリは解消します。
問題はなぜ血流が悪くなってしまったのか?ということです。
同じ姿勢での作業、緊張などが考えれられます。ですから中医学では単に血液を
サラサラな状態にするのではなくその原因に対応した治療も考えなければなりません。
たとえば、緊張すると身体の中の気が流れなくなりそのため気に乗って流れている血
も流れなくなります。このような場合には気を流す漢方薬と血を流す漢方薬を併用して
使います。このことにより緊張からくるイライラ、
不眠も解消され生活の質自体も向上するでしょう。
(2007/03/20まつえ)
春に向けての養生法
春先、木の芽時はとかく体調を崩したり精神不安定な状態が出てきます。 実はこれは冬の養生のしかたを工夫することでかなり違ってくるものなんです。 冬は『水』の性質、春は『木』の性質を持つ季節。冬景色をイメージすると 静まりかえった、静止した状態。春は明るく活動的、木々の緑も色づき 伸び伸び育ち始めます。でも『木』が伸び伸び育つには『水』が必要なん ですね。もし冬の養生が悪く『水』が消耗してしまうと春の『木』は育ちが 悪くなり、体調不良、イライラなどが出てきやすくなります。
もう一度冬の風景を思い浮かべてみましょう。 動物は冬眠に入り、木は 葉を落としなるべく無駄な生命力を防ごうとしています。一言でいえば 自然界が『静』の状態になる季節です。ところが人間はそれに「逆らって」 いますね。 仕事は忙しくなるうえに忘年会。睡眠時間も短くなります。 お正月もここぞとばかりに遊びまくりつい夜更かしに。 ご馳走三昧で消化器 にも負担がかかります。まさしく『動』の状態です。 今年の春のスタートは2月18日(春節)です。中国や横浜や神戸の中華街では 春が来た華々しくお祝いします。獅子舞や爆竹など、『動』の季節に『動』の 行いですね。
我々もあと1ヶ月、春の準備として『静』の状態:早めに寝て、疲れを残さない ようにする。冷えてる身体に冷たいアイスクリームや生野菜は禁物。身体を温める
ネギ、生姜などの香味野菜、レンコン、人参などの根菜をとるようにしましょう。 根は春に芽吹くためのパワーをたくさん持っていますからね。
ストレスも春の『木』の状態に悪影響をあたえます。 年賀状によく書かれている「心静にに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます」
状態がいいのです。
(2007/01まつえ)
『屠蘇散』について考える
なんか歳の瀬の感じが年々感じられなくなってますね〜。北風、商店街で流れる ジングルベルの曲、イルミネーション、もみの木、「きっと君は来な〜い♪」も これでもかというくらい流れていたのに。駅前のケンタッキーの行列もパッと しないまま正月に突入するのでしょうか?昔は正月はお店はお休みでしたから 年末は食料とか買いだめしておかないとお正月食べるものもなくなっちゃう危機感 がありましたが今はコンビニがありますもんね。無理やりクリスマスケーキ食べて メリー、メリー言ってないと自分自身なんだか2006年の終わりの気がしません。
当店も以前は『屠蘇散』を年末にお配りしていましたが最近は『屠蘇散』が解らない 人が増えてきてしまい配るのを止めました。お正月気分=「おとそきぶん」という 言葉がありますがこれ自体もう死語なんでしょうか?
『屠蘇散』は中国の名医「華陀(カダ)」の処方とか言われていますがどうなんでしょうか? 多分ウソだと思います。中国から平安時代に伝わった儀式で悪疫を防ぎ、病魔の退散を祈り、延命長寿、 無病息災を祈る目的で貴族の間に伝わりました。江戸時代になると一般庶民の間にも広がりました。 「悪鬼・疫病を治し、邪気・毒気を払うとされて、一人でこれを飲めば一家に疫なく、一家でこれを飲めば一里に疫なし、 元旦にこれを飲めば一年間病気にかからない」と信じられてきました。江戸時代は医者が年末になると患者さんに くれたようです。年末だから治療費そろそろ払えよ、という意味もあったようですね。
処方の内容は本によりいろいろですが一般的には オケラの根(白朮)・サンショウの実(蜀椒)・ボウフウの根(防風)・キキョウの根(桔梗)・ニッケイの樹皮(桂皮) ・ミカンの皮(陳皮)など、身体を温めたり、胃腸の働きを助けたり、 風邪の予防に効果的といわれる生薬を含んでいます。
12月31日にお酒+みりん少々に『屠蘇散』を浸し(6時間)、元旦の朝年下の者から飲んでいきます。
また、年始のお客様にもまず差し上げます。
(H18年12月まつえ)
ノロウイルス
ノロウイルスが猛威をふるい感染性胃腸炎患者が急増 しています。1月20〜26日の1週間の1医療機関あたりの患者数は19.8人と、1981年の調査開始 以来の最悪を記録したことが8日、国立感染症研究所による全国約3000の 小児科の定点調査で分かりました。 ノロウイルスは生ガキのような二枚貝などに含まれていてウイルスに汚染 した貝を食べるとうつるほかウイルスが大量に含まれている感染者の吐いた 物や便から感染します。 感染すると、激しい下痢や嘔吐(おうと)、腹痛を起こす。抵抗力の弱い 子どもや高齢者は重症になることもあるほか、吐いた物がのどに詰まり 死亡する恐ろしい病気です。
厚生労働省ノロウイルス関連ページ: http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf【12月8日NIKKEI NETより】
感染した初期には嘔吐、下痢が激しくでますが、これはよく 夏の「水あたり」によくでてくる症状です。こうした吐き下しには
無理に下痢を止めてはいけません。腸内にウィルスが停留すること になります。中医学では「勝湿顆粒」という漢方薬を使い自然と体の
中の水はけをよくして腸管の余計な水分(水下痢)をうまく代謝 させていきます。またウィルスを抑える働きのある薬草、五行草や
板藍根をお茶にして飲んでおくといいですね。
(H18年12月まつえ)
こむらがえりと芍薬甘草湯
筋肉の痙攣は筋肉が血に栄養されないとおこります。血は肝臓 に貯えられてられており筋肉の他には目にも栄養を運んでいます。
身体の血液は肝臓が倉庫で心臓が配送センターなのですね。日中 身体の中を心臓のエネルギーで循環している血液も夜、寝ている
間は肝臓に戻り貯えれれます。しかし夜になっても寝ないで働いている と血液は肝臓に戻れず体中を循環せねばならず消耗していってしまいます。
結果として筋に血が行き渡らなくなり『痙攣』がおこります。寝不足で まぶたがピクピクすることありませんか? それと同じ理由で足の筋肉も痙攣をおこし『こむらがえり』になるのです。
ここのなぜこむらがえりになるか?を押さえておかないで、ただ筋肉の 痙攣を弛緩させる「芍薬甘草湯」を西洋薬的感覚で使う医者が多いですね。
甘草は他の薬の働きを調和する目的で少量入れる場合が多いです。『薬中 甘草』というのはグループの中で特に目立たないが居てくれるとなぜか場が
和む人の喩えです。 しかし「芍薬甘草湯」の甘草の量は筋肉を弛緩させるのが目的ですからは多め に使います。こむらがえりの原因を考えずにただ対処療法的に使っていると
甘草の副作用『偽アルドステロン症』をおこし血圧が上がったり浮腫んだり してきます。 漢方は西洋代薬的に使ってはダメですね。
(H18年10月まつえ)
夏の脳梗塞
実は夏は実に脳梗塞や心筋梗塞でお亡くなりになる人が多いのです。 冬の梗塞は「冷気」により血管が収縮してしまうために起こるのですが夏はちょっと違います。
暑さのため「汗」をかき身体の水分が不足すると「血液」が濃くなり中医学でいう「オ血(オケツ)」ができます。ドロドロ状態の血ですね。これが「脳」や「心臓」で詰ってしまうのです。
寝不足の上に早朝から炎天下ゴルフ場で汗だくでクラブを振り上げた途端、ドロドロの血液が脳にホールインワンしてしまうことがよくあります。
脳梗塞や心筋梗塞をお年寄りだけの病気だと思わないで。働き盛りのポックリ病の多くは心筋梗塞なのですよ。ハードな仕事で不規則な生活、睡眠不足、こうしたことも身体の水分(中医学では陰液といいます)が消耗していく原因です。陰液不足で血液が濃くなる。
そうした血液が血管にこびり付きやがて動脈硬化、梗塞へと続いていきます。
肩が凝る・目の下のクマ・身体が火照る・痩せてきた・・・こうしたシグナルがでてきたらいつポックリ逝っても
不思議ではありません。生活を見直し、陰液が増え、血液がサラサラ流れるようにする
漢方を普段から飲んでおきましょう。
(H18年7月 まつえ )
夏の風邪
この時期の風邪は冬の風邪とちょっと違います。
冬のようにただ「寒い」だけの環境ではなく、夏は「暑い」+「ジメジメした」+「冷やしすぎ」
という複雑な要素を含んでいます。
夏場に食欲が落ちるのはこうした「暑+湿」という外からの邪気が
消化器に悪影響を及ぼし消化器が動かなくなるからです。お腹が張った感じはありませんか?
ここに暑いからと冷たい物が飲み食いされ消化器にたまっていきます。
お腹を触ると冷たいことはありませんか?この状態でクーラーなどの冷気がお腹にあたるとその刺激で「下痢」
に。お腹に余計な水分が溜まっている分、身体は重だるく、
また溜まった水がお腹の中に長期にあると熱を帯び、身体が熱くなります。
「身体が熱く、重だるい」ということで風邪かな?と思いますが、冬の風邪と違い「冷やして治す」
のではなく「消化器の余分な水を抜く」ことで治していきます。 夏野菜・果物は身体の熱を去り渇きを止め、
また余分な水を利尿させる働きがあります。コカコーラで渇きを止めるのよりずっといいんですよ。
(H18年7月まつえ)
チャイニーズ・デドックス
今までは「足していく」という考えが主流で「減らしていく」という考えはあまりなかったですね。
栄養補給やエネルギーアップみたいな。 「やたら疲れて仕方ない」
と言ってやたら高いビタミン剤やドリンク剤を飲んでいる人の中にはむしろ足さないで
減らしたほうが元気になる人がたくさんいるんです。
ドリンク剤の糖分、スタミナアップのために食べた高い肉などカロリーの高い食事が身体のなか
に余計な脂肪や糖を溜め込みそれが負担になって身体が動かないようになっているのですね。
今話題の「メタボリックシンドローム」などは溜め込み病の典型です。
漢方(中医学)では「補」ではなく「寫」しなくてはいけません。
台湾でもよくプアール茶を飲みますがこれも身体の中の余分な脂などを洗い流すため、
「寫」です。もう生活のなかにデドックスという考えが溶け込んでいるのですね。
(H18年5月まつえ)